Junior60(ジュニア60)は1946年に発表されたエンジン動力のフリーフライト機だそうです。
名前の通り60インチの翼幅を持っていますのでかなり大きな模型飛行機です。
ネット上で設計図はエンジンフリーフライト仕様、エンジンRC仕様 電動RC仕様の物が見つかりますが、今回は、これらの設計図を元にこのオールドタイマー機を作成することとしました。
ただし、60インチはちょっと大きいので、35インチ(約90㎝)に縮小して作成します。
4㎜厚のバルサから胴体枠の部材を切り出します。
バルサから何本かの部材を切り出すときは、左右に2,3センチ残しておき最後まで切り離さないのが歪まないで切り出せるコツだそうです。たしかにやってみると意外とうまく行きました。
左右の側面をこのように作成して接合します。部材は設計図に合わせて切り出す必要がありますので、切り出し用の設計図と、寸法合わせ等に使う物の2種類をプリントアウトしました。
胴体が一応の形をしてきました。
リブの作成ですが今回はサンドイッチ工法?で作成しました。
リブの形をベニヤで2枚作成し、リブの枚数分のバルサを挟み込んで、ボルトで固定します。
もう自分でもびっくりするくらいにきれいなリブが作れました。
カウル部分もバルサで作って少し形を整えます。
水平尾翼と垂直尾翼の上下を図面合わせで作成
ちょっと並べてみました。
サンドイッチ工法?のリブをばらして主翼の作成準備です。
主翼の中央部です。この左右に主翼がつながり、この部分が胴体に乗っかります。
左右の主翼と中央部が出来ました。
とりあえず仮組してみました。この上半角の大きさがオールドタイマーのフリーフライト機の大きな特徴なんでしょうね。
しかし、一見簡単そうな機体構造なのですが、部品のあちらこちらに特異な?工法が用いられているので、作成をなめてかかるとひどいしっぺ返しを食らう事になります。
さて、ここから細かいサンドペーパーで生地の完成を目指します。
被覆をどうするのかまだ決定していませんが、さてどうしたものか・・・。
被覆をどうしたものか・・・思案中。
フィルムはちょうど白色があるので、フィルムにしようかと思ったものの、ドープや絹もまだストックがあるし、でも、絹張りドープ仕上げの手間ひまは半端じゃないし・・・
と悩んでおります。
白色フィルムの貼りあがり状態はわかっているのですが、薄手で白色の絹張りの状態は全く未知数です。
よって、とりあえずどんな状態になるのか余ったバルサにためし張りしてみました。
かなり透明度の高い状態に貼れます。
この機体のトラス構造を際立たせるにはちょうどいいかもしれません。
しかしバルサの下地をかなりしっかりと仕上げないとかえって醜くなる可能性が大です。
しかし、やるだけの価値はあるかも・・・・いっちょ挑戦してみるかな!
ただし、鏡面仕上げではなく、いかにも絹張りしましたよ という感じで、絹目を残すつもりですから、ドープのみを塗りっぱなしの仕上げです。
ドープでの下地処理にとりかかりました。
ドープ1に対してエンジンシンナー2の割合の配合です。
まだまだ先は長そうです。
せっせとドープでの下塗り中です。
ラダーとエレベーターの動翼部分を被覆の後で取り付けるのか、被覆前に取り付けるのか悩みましたが、今回は被覆前に取り付けてしまいます。
最後にドープを1回塗って終了です。
これで一応、絹張り前の生地の下地処理は終了です。
絹張りドープ仕上げの大変さは身にしみていましたが、この寒空ではさらに厳しいものがあります。
重い腰を上げてやっと絹張りを開始しました。
ドープ10にドープサイザー1 エンジンシンナー20のドープ液を作成し、絹を部位に合わせてカットしたものを水スプレーで貼り付け、しわを伸ばしながら、バルサの下地がある部分だけこの液を刷毛で塗布して絹とバルサ地を接着させます。
本当は、一枚布で全体を覆いたかったのですが、ランディングギアを先に取り付けていたので、やむなく底面のみを先に貼る事にしました。
水平尾翼は一枚布で、絹張り前に取り付けた動翼も一緒に貼ります。
水スプレーでなじませた絹の上記の赤い部分をドープで先に止めてしまいます。
ここが乾いたら、再び水スプレーで絹をなじませてしわを伸ばしながら先端の青い部分をドープで止めます。
青い部分のドープが乾いたら、バルサに巻き込む部分を残して絹をカットし、再び水スプレーで先端部になじませて巻き込みながらドープで刷毛を使って止めていきます。
水平尾翼の裏面が乾燥したら、今度はひっくり返して表面を同様にドープで止めていきます。
もちろん、ここもドープは枠の部分のみに塗布し、バルサの下地のない部分は、まだドープを塗布しません。
水平尾翼の表裏とも絹が貼り終わったら(まだドープは枠のみに塗布している段階です)ヒンジ部分表裏の絹をよく切れるカッターで切ってしまいます。
切った後は、水スプレーでヒンジ部分の隙間にしっかり絹をなじませ巻き込んで刷毛を使ってドープで止めてしまいます。
ヒンジ部分の絹は、このように後で水スプレーでなじませ巻き込む必要があるので、この部分にはできるだけドープを付着させないほうが作業がしやすいようです。
垂直尾翼も同様に絹を貼りました。
主翼は裏面から貼ります。水のスプレーで絹をバルサになじませてからセンター部分の赤線部分を先にドープで止めてしまいます。
ここが乾いたら、再び絹を水でなじませて、緑の線の方向に絹をのばして端をドープでとめていきます。
同じようにして、主翼の裏面が貼り終わりました。まだこの段階では端の部分がドープでとまっているだけで、下地にバルサのない部分にはドープは塗っていません。
胴体も上面と側面をやっと絹を貼り終えました。
いよいよ、ドープ10にドープサイザー1 エンジンシンナー20のドープ液で全面へのドープ塗装を開始しました。
主翼や尾翼等は表裏を一気に塗って、片側だけドープの収縮で引っ張られることのないようにしました。
複数回(おおむね7回くらい)を乾いたら塗り、また乾いたら塗るを繰り返します。
なお、一度目は縦方向に2度目は横方向にと縦横を繰り返して塗るほうが目止めの効率は良いようです。ただし、ドープは刷毛で一方向にだけ塗って往復させたりしてはいけないようです。
ドープ収縮での歪みが心配でしたが、歪んだら最終処理で歪みの補正をしようと考えていましたが、何の手立てをしなくても歪むことはありませんでした。
というわけで7回のドープ塗装を無事完了しました。
塗り終わっての乾燥重量は156gでした。重いのか軽いのか分かりませんが、絹張り前の下地塗装を行う前の生地完成状態で134gでしたので、下地ドープと絹及び目止めドープで22g増加という結果です。
全体の絹張り完成状態を背後から。
全体の絹張り完成状態を前部から
カウル部分を着色しようかと思いましたが、見た目、生地完成状態もなかなか良いかもと思い、しばらくは無着色のままにしておこうと思います。
メカ積み開始 モーターはCT2730-1200を選定。
2セル8×4ペラで250g以上の静止推力はありそうです。
モーター、サーボ搭載、リンケージを完了しました。
バッテリーを除いて重量は284.5gでした。バッテリー込みで320gでおさまるかなというところでまずまずかな・・と思っていましたら、バッテリーの積載位置の調整くらいではどうしても重心が合いません。
かなりのテールヘビーです。
しかもこの機体はノーズ部分が短いので、先端部分に重りを積んでも50g位を積まなくてはなりません。しかも重りを積み込む場所の確保も困難です。
困った・・・。
これってかなり無茶な方法だと思いますが、重りが積めないのなら重いモーターに替えてしまえと手持ちのE-MAX BL2220/07 約80gに換装。
このモーターはカタログ値では3セル 10×5のプロペラで約1300gの推力がでます。
もうむちゃくちゃなセッティングとはじゅうじゅう分かっていますので、お叱りつっこみは無しでお願いいたします。
こいつに8×4ペラを回させて適度な推力、回転数のところがフルハイの位置に来るようにプロポ側で設定することで重心問題から逃げることにしました。(ペラは8×4を使っているので推力はそんなに上がらなかった。よって別に調整の必要はありませんでした。)
というわけで、バッテリー抜きで332.8gになり、機首部分に約50gの重りを積んだことになり、重心位置も何とか合わせることができました。
たぶん飛行重量は380g位で翼面荷重は約30gになりそうです。
本当にこんなんで良いのかな?
製作後、飛行の機会が無く、かなりの期間、観賞用の機体になっていましたが、製作から約10か月後に初飛行となりました。
飛行前の記念写真
初飛行は無風と言って良いくらいの天候。
基本がフリーフライト機なので、点検項目は重心とサーボの動き位の再確認のみで、手投げ発進。
真っ直ぐスゥーッと上がっていきました。
こんなことは初めてですが、トリムの調整もまったく不要でした。
写真は操縦者がカメラを手持ちで撮影しました。本当は安全のためにはよろしくないのですが、無風の空をゆっくりゆっくり自律飛行するので、余裕をもって撮影できました。
この機体の位置付けは、「操縦もできるフリーフライト機」
で良いんじゃないかな。
この機体を作成してからかれこら2年になりますが、見た目、生地完成状態もそろそろ飽きてきたのでカウルに着色することにしました。
テープで養生してラッカースプレーを吹き付けることにしました。
絹張りドープ仕上げの機体にラッカー着色が適するのかどうかはわかりませんが、何かの資料で、「ラッカー塗料にドープ塗料は乗らないが、ドープ塗料にラッカー塗料は乗ります」と書かれてあったように記憶していたので、実行してみました。
まあまあこんなものでしょうか。今のところきれいに着色できました。
まぁ、また気が向いたら主翼や尾翼も着色してみましょう。